「8月6日原爆の時、あの日、8歳の少年だった私の、一番印象に残り、そしていまだに脳裏に焼き付いて離れないのは、すべてが黒焦げとなった世界の中で、人間の目玉の白さだけが異常に光を放っていたことです。」(洋画家・大前博士)
現在79歳になる画家・大前博士が、自身の幼いころの被爆体験を描いた作品展 『黒い世界と白き眼光』 を、東京・池袋の東京芸術劇場ギャラリーにて、8月1日~7日まで開催します。昨年8月に広島で開催され、大きな反響を呼んだ同展は、この度、新作10点を加えた30点余りの作品を東京で展示致します。
1965年、大前博士28歳の夏に開催された初の個展「ヒロシマ・アッピール平和公園野外展」は、幼いころの原爆体験のイメージを、抽象的に表現したものでした。当時、国内外から大きな反響を呼びましたが、作家自身を襲っていた原爆の後遺症、精神的苦痛に悩まされる日々から解放されることを求めて、原爆の絵を描くことを一旦封印し、渡仏を決意しました。
32歳でフランスへ渡り、苛酷な原爆体験の対極にある明るさ、色彩の世界を追いかけるがごとく、ヨーロッパの美しい風景を柔らかな筆致で描く作品を数多く制作、発表してきました。
それから半世紀、昨年被爆70年を迎え、原爆の体験者も数少なくなり、戦争、原爆の記憶が薄れていく今、描かなければならないのは、自身の被爆体験であると強く感じ、画家・大前博士の集大成として、2015年初頭より約半年間で20数点の作品を描き上げ、昨年、広島でこの展覧会を開催するにいたりました。
8月6日の静かなる夜明け、原爆投下、破壊そして再生へと続く一連のストーリーとなる100~120号の連作30数点、これは単なる『原爆の絵』という枠を超え、自身の体験、記憶と闘い、生きてきた一人の画家の魂の叫びでもあるのです。
昨年8月の広島にて開催された同展には、県外、海外から数多くの来場者があり、大きな反響を呼びました。「絵が浮き出てくるかのような感覚を覚え、絵の迫力と世界観が広がってきて胸に突き刺さる」といった、当時の写真を見るよりも『リアル』をより深く感じた方が多く、絵画の持つ底力を示す展覧会となりました。
この度の東京での展覧会では、さらに10数点加え、8月1日より1週間、東京芸術劇場ギャラリー1にて開催し、東京、そして世界中の一人でも多くの方に、また次世代を担う若者や子供たちに見ていただきたいというのが大前博士の強い想いです。
なお展覧会開催中には、作家本人によるギャラリートーク、この展覧会をイメージし新垣隆氏に作曲して頂いた曲「ラメント」を含むギャラリーコンサート、また小中学生へ向けたワークショップなどが予定されています。
記
展覧会名:大前博士作品展 ヒロシマ黙示録『黒い世界と白き眼光』
日 時:2016年8月1日(月)~7日(日)
開場時間:10:00~20:00 (初日のみ12時開場)
会 場:東京芸術劇場 展示ギャラリー1
〒171-0021 東京都豊島区西池袋一丁目8番1号 Tel.03-5391-2111(代)
JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅より徒歩2分(駅地下通路2b出口と直結しています)
入場料:無料
主 催:ヒロシマ・アッピール実行委員会
出演:新垣隆(ピアノ)大前知誇(チェロ)
*尚、予定されていた8月5日14時〜の三上亮、大前知誇によるデュオ・コンサートは、三上氏の急病により上記のコンサートに変更になりました。
1937年、広島に生まれる。78歳。広島市在住。
8歳、広島市で爆心地より2㎞の地点で被爆。
28歳、単独個展「ヒロシマ・アッピール平和公園野外展」を開く。多くの注目を集める。32歳で渡仏し、パリにアトリエを持つ。
アカデミー・グランド・シュミエールに学ぶ。
1972年 アーティスト・フランセーズ受賞 サロン・ド・トーヌ入選(1977年まで毎年)他、受賞歴多数。
1973年 新しい具象ニューヨーク展招待出品(ニューヨーク)
1998年 日本の秀作美術展招待出品(アルゼンチン)
以後、国内各地で現在に至るまで数々の個展を開催。
◆東京事務所 東京都港区高輪1-4-6-1405 Tel.03-5448-0663
担当:大前 知誇 Tel.090-3178-3355 E-mail:chikaomae@aol.com
担当:富樫 Tel.080-5443-1112 E-mail:jtogashi@annex-inc.jp
◆広島事務所 広島市中区立町5-7-4F Tel.082-244-8488
担当:八木 Tel.090-3177-4977 E-mail:omae@mint.ocn.ne.jp